フランスのイエールは1800ヘクタールもの湿地帯に囲まれていることもあり、蚊が非常に多い地域として知られています。これが原因で観光で訪れる人が減り、地域の観光業に大きな影響を与えています。この問題を解決するため、イエールの自治体は「蚊の生態を利用した」全自動蚊吸い取り機を300台以上設置。開発者によると、その効果はイエールの町に生息する80%の蚊を削減できる効果を持つとのことです。
イエールでは湿地帯に囲まれる土地柄もあり、蚊が大量発生しやすい環境となっています。このため、この地域に住む人々は蚊による被害も多く、結果的に観光客から「行きたくない場所」との烙印を押されてしまい、イエールの観光産業は大きなダメージを受けることになりました。このため、イエールの地方自治体は観光業の復活のため、蚊対策に乗り出すことになりました。
蚊は呼吸や臭いで対象に近づく習性があり、一般的な「紫外線」を使用した殺虫機等を設置しても、蚊が近づいてくることはなかなかありません。そこで、イエールの地方自治体はQistaが開発した「蚊吸い取り機」の導入を決めました。この機械は空気中に二酸化炭素(CO2)と人間の汗の臭いを模した香料を放出し、近づいてきた蚊を吸い取るというものです。
画像: BBC
Qistaの設立者の1人であるサイモン・リラマン氏は「この蚊吸い取り機は『人間が住む地域でのみ』しか稼働していないため、森などの自然豊かな地域に住む動物が捕食する蚊には影響を与えることはありません」と述べており、蚊吸い取り機により蚊が激減しても生態系に問題を与える心配は低いとしています。また、蚊を吸い取るために発しているCO2は機械が生成しているのではなく、別の工場などで発生しものを再利用しており、環境影響も少ないと述べていました。
Qistaによると、蚊吸い取り機により、蚊の発生を80%抑制できると謳っており、効果は非常に大きいとのこと。なお、イエールの蚊吸い取り機を取材したBBCのレポーターはイエールを訪れてから一度も蚊の被害を受けなかったそうです。実際にこの記者が取材したムービーは以下から確認することができます。