人類の未来の移住先として、よく「火星」 の名前が挙がります。しかし、火星には酸素がないため、水もありません。このため、地球上の生命が火星に居住するためには、これらの問題解決が必須です。航空宇宙メーカーのSpaceXのCEOであるイーロン・マスク氏は火星の開発や移住に向けたプロジェクトを進行していますが、その難易度が非常に高いことをCNNのインタビューで語っています。
イーロン・マスク氏は「人類は火星に行くべきだ」という考えを強く持っており、記事作成時点でSpaceXは火星への物資運搬を実現するための技術改良を進めています。そんな中、同氏は「火星移住の実現させるには長い時間が必要になりますし、多くの人が死ぬことになるでしょう」と語り、難易度の高さを改めて説明しました。
20世紀には何度も有人ロケットを飛行させる実験を行っていますが、コロンビア号やチャレンジャー号の事故だけでも14人の宇宙飛行士が犠牲となりました。地球から飛び立つだけでも、多くの犠牲者が生じた事実からも「火星移住のプロジェクトは難易度が高い」ことをマスク氏自身も感じているのです。
マスク氏自身「いつかは火星に住んでみたい」と語っているのですが、火星への入植が可能になっても、「初期段階では実際に火星に行くことはない」としています。同氏はSpaceXの関係者も絶対に行かせない方針を掲げており、最初に行くのは「自ら『火星に行きたい』と志願したボランティアのみ」になる予定です。
SpaceXが構想している火星移住計画には「技術的問題」や「倫理的問題」などさまざまな問題が山積している状況ですが、最も大きな問題は資金面の問題と考えられています。火星は人間が生身で生活できない環境です。地表には放射線が降り注いでいて生身で浴びれば死に至りますし、地表で風雨にさらされれても気圧の低さから血液が沸騰して、結局は死に至ります。
このため、人類が火星開発を進めるためには火星の地表に気密性の高い居住空間と食糧を恒久的に維持する仕組みが必要です。このような技術についてはNASAなどのその他機関においても、何十年に渡って研究が続けられていますが、まだ現実的な解決策は見つけられていません。
このように移住が難しい状況ではありますが、マスク氏は「人類が長期的に生き残ることを目的としたとき、地球が何らかの天変地異で住めなくなったときに備えて、地球以外の居住地を設ける必要がある」と語っています。このため、同氏は「火星での居住に向けた取り組み」を積極的に推し進めており、2026年までに火星移住計画のプロジェクトを進める最初の人類を火星に送ることを予定しています。