中国の天安門事件の犠牲者を追悼する記念碑、撤去されてしまう

画像: Reuters

2021年12月22日の深夜、香港大学に設置されている天安門事件の犠牲者を追悼する記念碑「国恥の柱」が撤去されました。この記念碑を製作した作者によると、1989年に中国当局によって殺害された民主化運動の参加者をイメージして、積み上げられた死体をイメージしていたとのことです。

記事作成時点で中国では国家に対する反対意見を述べる勢力を取り締まる傾向が強く、民主化の流れが強い香港や台湾に対して、中国政府からの圧力が強まっている状況にあります。そんな中、香港大学では中国政府の暗部として知られる天安門事件の記念碑として知られる「国恥の柱」が24年間も展示されていました。

画像: Flickr (Martin Ng)

しかし、中国政府からの圧力が強まってきている中、ついに「国恥の像」が撤去されることになりました。天安門事件は「中国当局が同国在住の数千のデモ隊を大虐殺した」という歴史的事実もあり、中国政府は国民に見せたくない事件として、同国内からは「事件の内容に関する情報」へのアクセスを遮断する対応を取っているのです。そんな天安門事件において、「戦車男」として知られる象徴的なシーンはCNNがYouTubeで公開しているムービーで確認することができます。

撤去理由について、香港大学は「24年間展示してきたことで記念碑自体の老朽化が激しく、安全を確保するために撤去した」と述べており、あくまでも学生の安全を守る目的で「国恥の柱」を撤去したと述べており、中国政府の意図ではないと強調していました。なお撤去した記念碑について同大学は「厳重に大学内で保管する」として、取り壊すことなく厳重に管理すると述べました。

国恥の柱を製作した彫刻家のイェンス・ガルスキオ氏は「『国恥の柱』は1989年に北京で亡くなった人々を追悼するために作ったものです。これを(政府の意図もしくは働きかけによる不誠実な理由で)解体するというのは墓地に行って、すべての墓石を破壊するのと同じです」と述べており、この対応を「残酷だ」と強く非難していました。ガルスキオ氏は中国当局を告訴し、補償を求めることも検討すると語っていました。