中国、サッカー代表選手のタトゥー禁止を発表「社会の規範に」

画像: Flickr (Agência Brasília)

中国国内の機関でスポーツを統括している国家体育総局はサッカー代表チームに選抜される選手のタトゥー禁止を発表しました。当局によると、代表チームおよびU-23(23歳以下の)代表チーム所属の選手は今後、新たなタトゥーを入れることを禁止し、発表時点でタトゥーを入れている選手は自ら取り除くように勧告しているとのことです。

今回、タトゥー禁止に踏み切った背景として、国家体育総局には「国家を代表するナショナルチームに所属する選手は全員、愛国心を高めるような思想・政治教育を行うべき」という考え方が背景にあるそうです。

このような教育を施すことで「代表チームは『使命感』『責任感』を高め、大きな名誉を得るために戦うことができるようになる」と国家体育総局は結論付けており、社会の規範となりながらも大きな成果が得られるとしています。

この発表で非常に注目されているのは中国代表のディフェンダーとして定着しているチャン・リンペン(漢字:張琳芃、日本読み:チョウ・リンホウ)選手です。彼は手足に大きなタトゥーを入れており、過去にも中国代表およびクラブチーム(広州恒大)でプレイする際にもタトゥーを隠すように指示されたこともあります。

発表内容では原則としてタトゥーを消すことが求められていますが、一応の救済策もあるようで「代表チームが合意した特別な事情がある場合、選手はトレーニング中や試合中にタトゥーを見せないようにすれば問題ない」との規則が設定されています。

このため、チャン選手は「タトゥーを隠す」か「タトゥーを消す」かの2択がせまられているようです。なお、この原則が通用するのは一部世代の代表のみで、20歳以下の代表チームの場合はタトゥーを入れている選手の招集ができないと定められています。

ちなみに男子の中国代表チームは予選に日本と韓国が出場していない2002年の日韓ワールドカップには初出場できましたが、それ以降は出場権を逃している状況です。なお、2022年のカタール大会の最終予選にも参加していますが、おそらくワールドカップ出場権を得るのは難しいと見られています。