交通事故委員会が考えた「どんな事故にも耐えられるさいきょうのボディ」を再現するとこんな感じ

画像: Transport Accident Commission

自動車は重量1トンを超えているため、速いスピードで移動した際に人や物にぶつかると、対象者や運転手にとんでもない被害を与えてしまいます。そこで、オーストラリアの交通事故委員会であるTransport Accident Commission(TAC)は「仮にどんな人間だったらこのような事故でも生き残れるのか」をテーマとして考えた結果、とんでもない姿形をした超人「グラハム」が生まれてしまったとのことです。

このグラハムの見た目はまるでSF映画などに登場する、ミュータントのような容姿をしています。しかし、これは冗談で作られたものではなく、TACと外科医のクリスティアン・ケンフィールド氏、そして芸術家のパトリシア・ピッチニーニ氏が協力して「自動車の安全技術がない状態で『とんでもない』衝突事故に遭っても生き残れる人体」を具現化したそうです。

このコラボレーションによって、再現されたグラハムは首がなく、目と鼻がくぼんでおり、肋骨にはエアバッグがのような衝突軽減機能が搭載されています。私たちが想像する人間とは似て非なるもののように感じてしまいますが、これぐらいの体でないと「とんでもないスピード」で衝突事故を受けたときに耐えられないとのこと。

TACのCEOを務めるジョー・カラフィオレ氏は「自動車は人間よりもはるかに凄いスピードで進化してきました。グラハムは、そんな私たち自身の過ちから身を守るために道路システムのあらゆる部分の改善が必要なことを教えてくれるのです」と述べ、あくまでもメッセージ性の強いアート作品の位置づけにあると説明しています。

人間の体は時速30キロメートルのゆっくりしたスピードであっても、木などの障害物にぶつかっただけで致命的なダメージを受けてしまいます。このため、製作に携わったピッチニーニ氏は「私たちの体はグラハムのように強靭ではありませんが、現代の車にはグラハムの肉体のように守ってくれるシステムが搭載されています」と語り、自動車の安全システムを確保することの重要だとしています。