「自閉症の有無」を胎児の段階で判別できる可能性が示唆される

画像: Flickr (suparna sinha)

生まれつき他者とのコミュニケーションを取るのが非常に困難な自閉症を有している人は多くいます。この病気は治療が速いほど、効果があるとされていますが、自閉症であることが発覚するのは最短でも生後18カ月なのが現状。しかし、最新の研究で胎内にいる段階で自閉症が発生するリスクの有無を診断できる可能性が示されたとのことです。

ハーバード大学 メディカル・スクールのアルペン・オータグ氏らの研究チームの調査によると、後に自閉症と診断される赤ちゃんは出産前のMRI検査で知覚認識、社会的行動および意思決定を司る島皮質部分が他の赤ちゃんと比較して、体積が大きくなっていることが確認されたそうです。

この実験は39人の胎児を対象とした小規模な実験結果ではありますが、39人のうち9人が自閉症と診断され、20人が所感なし、10人が循環器系に影響するような発達障害を抱えていると診断されました。

研究チームは脳のスキャン画像を分析した結果、自閉症と診断された赤ちゃんとそうでない赤ちゃんの間で最も差が色濃く表れたのは島皮質で、前者のグループが他のグループと比べて明確に体積が大きかったとのこと。このことから、胎児の脳をMRI検査することで自閉症の有無が確認できる可能性が示されることになりました。

オハイオ州立大学ウェクスナーメディカルセンターで精神医学と行動保健学の名誉教授を務めるユージーン・アーノルド氏は「今回の研究は小規模なもので、調査結果が再現できることを確かめる必要があります。しかし、報告内容は過去の研究結果と一致している部分も多く、再現性は高いかもしれません」と語っています。

しかし、アーノルド氏は「島皮質の違いは自閉症特有のものではなく、双極性障害や他の精神疾患を患っている患者でも報告されていることから、さらなる追加研究が必要になるはずです」とも述べ、今回の研究で示された結果は別の疾患にも該当するケースがあることから、詳細な調査が必要になるとしていました。