「トルコのマドンナ」の異名を持つ歌手、宗教学校批判を行ったことで逮捕される

2022年8月25日に「トルコのマドンナ」と呼ばれるほどの実績を持つ歌手のギュルシェンの逮捕が命じられ、拘留されていることが明らかになりました。彼女が逮捕された理由はイスラム教指導者養成を行うイマーム・ハティプ校を批判する発言を行っていたことが要因であるとのことです。

ギュルシェンは数十年に渡って、トルコのポップミュージック界をリードする存在で露出度の高い衣装を着たり、性に開放的だったりする点以外にもライブパフォーマンス、非常にカラフルな演出がされたミュージックビデオを公開するなどで多くのトルコ国民に知られています。実際のミュージックビデオはYouTubeのnetd müzikが公開しているムービーで確認することができます。

そんな、ギュルシェンが逮捕された原因となったのは「私のバンドメンバーはイマーム・ハティプ校に通っていたんだよねー」と発言し、同校に多くの人々から「敵憎悪と敵意を煽った」として逮捕状が請求されたそうです。イマーム・ハティプ校はイスラム教指導者を養成することを目的とした学校でトルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領の母校であることも知られています。

普通に考えると、学校の話題を口にしただけで逮捕状が出るというのはおかしな話ですが、同国ではイマーム・ハティプ校の話題は少しデリケートなものとなっているのです。それはトルコの政権与党である公正発展党が過去20年に渡り同校に多くの公的資金を投入していましたが、この学校からは多くの性的虐待のスキャンダルが豊富に出てきているためです。

そして、ギュルシェンがライブパフォーマンスでプライド・フラッグを掲げイスラム教で禁じられているLGBTの権利を擁護していることなどから強い反感を買っていたこともあり、遂にはイスラム教保守派の影響で逮捕される形になりました。しかし、法律の専門家によると、ギュルシェンが仮に裁判で有罪となっても、刑務所に収容される見込みは低いとのことでした。

ペンギン議長の一言
なお、この逮捕にトルコの多くの国民は納得していないようで「こんなので逮捕される国っておかしくね?」といった意見が多くあるようです。このため、記事作成時点のトルコ経済の窮状も相まって、大統領の支持率低下に拍車がかかりそうだとの見方もあるようです。