「出生率の大幅な低下」を受けて中国が「3人っ子政策導入」を決定、効果はないとの予想も

女性1人あたりの出生率が2020年で1.3人となり、日本やイタリアなどと同等の高齢化社会となっている中国ですが、これまでの方針を見直し、夫婦1組あたり3人までの子どもを産んでも良いとする政策を導入すると発表しました。

2021年5月に中国政府は2020年に実施した国勢調査の結果を発表しました。しかし、その結果を見ると、中国は2010年からの10年間で人口が5.38%増加したとのことですが、過去50年間の水準では最も低い増加率であり、かわりに女性1人あたりの出生率が1.3人となり、日本やイタリア相当の高齢化社会となっていることが明らかになりました。

中国政府はこの数字について当初、「先進国となれば、人口増加が緩やかになるのは当然」という立場を示していましたが、本音は違ったようです。これまで中国では夫婦1組あたり子どもを2人まで持って良いとする「2人っ子政策」を実施していましたが、国勢調査の発表からわずか3週間ほどで「3人っ子政策」に切り替えると発表しました。

2人っ子政策は2014年から中国で実施されてきた政策ですが、この頃も既に出生率の低下は著しく、実際に効果が発揮されることはありませんでした。その理由について、BBCが中国で生活する夫婦に話を聞いたインタビューでは多くの夫婦が「1人で十分」「子ども複数持つ意味がわからない」「1人の子どもを育てることに全力を尽くすのが良い」と発言しています。

この考え方は記事作成時点の夫婦はそれぞれが「1人っ子」として育てられてきており、「それが当然である」という価値観から来ているものと推測されています。このため、中国政府は産んでもよい子どもの人数を増やすだけでなく、「夫婦に子どもを多く産んでもらう」ための施策をすすめる必要があると考えられます。

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実際にBBCが中国で生活する夫婦にインタビューしたムービーは以下の記事から確認できます。
また、2020年の中国の国勢調査の結果については以下の記事から確認可能です。