「90分以内に新型コロナを検知」バイオセンサー技術を用いたマスクが登場

画像: ハーバード大学(Wyss Institute)

2020年以降に感染拡大が本格化した新型コロナウイルスにより、世界にものすごく大きな影響が発生しました。記事作成時点ではワクチン接種が世界中で行われていますが、インドをはじめとし、いくつかの国では第3波の脅威が迫っているとの見方もあります。そんな中、マサチューセッツ工科大学とハーバード大学の研究チームが「90分以内に呼気中の新型コロナウイルス(COVID-19)」を検知できるバイオセンサー技術を開発し、フェイスマスクに搭載したとのことです。

研究チームが開発したバイオセンサーは人の呼気にウイルスが含まれているかを識別するというものです。このバイオセンサーは中国のマスク規格「KN95」(一般的なN95相当)で作られたフェイスマスクに取り付けられる小型のものとなっており、ボタンでバイオセンサーを起動させると、90分以内に結果が反映されるとのこと。しかも、検査精度自体は標準的なPCR検査と同程度であるそうです。

本研究の共著者でハーバード大学のWyss Instituteの研究員であるピーター・グェン氏は「研究チームは『実際のウイルス診断を行う研究所』を合成生物学をベースとした小型のセンサーに集約して、どのような形状のフェイスマスクにも対応できるようにしました」と述べ、このセンサーにより「PCR検査相当の高い精度」の検査が「抗原検査相当のスピードと低コスト」で実現できると語っています。

グエン氏は「このバイオセンサーは新型コロナウイルス検査用途だけのものではありません」とも説明しており、衣類に取り付けることで、ウイルスやバクテリア、毒素、化学物質などの有害な物質を外出先で検出することも可能であるとしています。このため、将来的には危険物質や病原体を取り扱う研究者用の白衣に取り付けたり、有毒ガスやウイルスの影響を受けやすい救急隊員や軍人の制服に導入したりすることを目的にしているそうです。

記事作成時点で研究チームはこのマスクを大量生産できる製造パートナーを探しており、新型コロナウイルス感染の第3波、第4波の懸念がある地域で利用できるようにしたいと考えています。