画像: 抖音(拉姆) : The New York Times
TikTokの中国版「抖音(ドウイン)」で生配信を行っていた女性が配信中に元夫からガソリンをかけられた後、火をつけられて焼死してしまうという事件が2020年9月14日に発生しました。この事件の後、男は逮捕され、2021年10月14日に死刑判決が下されたとのことです。
- Man sentenced to death for setting ex-wife fatally on fire as she livestreamed on social media | The Independent
- Tibetan vlogger Lhamo’s killer gets death sentence for brutal live-streamed murder | South China Morning Post
殺害されたラムさんは抖音でビデオブログ(Vlog)の更新を行っており、数十万人のフォロワーを抱えていたことから、同サービス内では有数のインフルエンサーとして知られていました。当時30歳で2児の母でもある彼女は2009年に犯人のタン死刑囚と結婚。しかし、結婚後からラムさんはタン死刑囚からの家庭内暴力(ドメスティック・バイオレンス:DV)に悩まされ続けたこともあり、2度離婚することになりました。
その後、タン死刑囚はラムさんに対し「3度目の結婚」を要求するも、彼女から結婚を拒否されました。タン死刑囚は結婚を断られた腹いせからか、ラムさんの抖音での生配信中、突如彼女の体にガソリンをかけて火を付けるという凶行に及びます。彼女はその後病院に運ばれ、2週間治療を受け続けましたが、火傷の被害が重く、命を落としてしまう結果となったのです。
裁判所は「彼の犯行は極めて残酷であり、社会的な影響も極めて大きく、厳罰に処す必要がある」として、死刑判決を下しました。中国では2016年にDVを犯罪化しましたが、ラムさんが住んでいたチベットなどの農村部では蔓延しているのが現状で、警察に訴えても「家庭内での私的な問題」として扱われ、事件になるケースがほとんどありませんでした。
しかし、今回の事件で「DV」が中国国内で大きな注目を集めることになったため、今後「中国国内でのDVの見方が変わる」転換点になる可能性があります。