画像: Flickr(European Southern Observatory)
アメリカ航空宇宙局(NASA)によると、ブラックホールは原子1個分の非常に小さなものから、太陽の100万倍の大きさの超巨大なものまで多種多様に存在すると可能性があるそうです。この一度は理科などの授業で聞いたことのあるブラックホールですが、これが何者でどのように生まれるか知らない人の方が多いはずです。そんなブラックホールについて、テクノロジー関連のニュースを紹介するサイト「SlashGear」が解説しています。
ブラックホールは「光が外に逃げ出せない」くらい強い重力を持つ星(天体)であり、巨大な星が崩壊したときに初めて誕生します。一般的に星は年を追うごとに膨張して質量が増えていくため、中心部がその重さに耐えられなくなります。中心部が崩壊すると、超新星爆発を起こし、星の外側にあった層が宇宙空間に飛び出します。そして残った中心部が「体積ゼロ」でかつ「密度が無限大」のブラックホールが誕生するのです。
ブラックホールには「事象の地平線(Event Horizon)」と「特異点(Singular Point)」の2つの部分で構成されています。前者はブラックホールの外側にある境界線を指しており「ノーリターン・ポイント」とも呼ばれています。仮にブラックホールに侵入し、このポイントを通過すると、ブラックホールから脱出するには光速よりも速いスピードが必要となりますが、記事作成時点の物理法則では光速を超える速度を出すものは存在しないため、このように呼ばれているのです。また、後者の特異点は「ブラックホールの中心」を指しています。
しかし、ブラックホールは光すら逃げ出せないため、私たちが実際に目で見ることはできません。では、科学者はどのようにしてブラックホールを技術的に観測することができるのでしょうか。もちろん、見ることができないブラックホールは科学者でも観測できないのですが「周囲の星がどのような動きをしているのか」を観測することでブラックホールの存在を認識しているとのことです。
画像: Flickr(NASA Goddard Space Flight Center)
ブラックホールはとてつもない重力によって、周囲のものを吸い寄せるのですが、その際、周囲のガスなどが円盤状になって高速に回転します。円盤が一定の速度で回転すると、ブラックホールの周りを回っているガスの分子は非常に高温になりX線を放出。このX線は地球上からも観測することができるため、これを見て科学者は「ここにブラックホールがある」と認識できるのです。
ちなみにブラックホールになることができるのは大質量の星だけで、それ以外の星は白色矮星や中性子星となって、死滅していきます。おそらく、一部の人は「太陽も将来ブラックホールになるのではないか?」と考える人がいるかもしれませんが、太陽は「大質量の星」に分類されないため、ブラックホールにはならないと考えられています。仮に太陽がブラックホールになるとしても、私たちがその姿を目にすることはありません。それは太陽がブラックホールになろうと膨張していく過程の中で、地球に住む生命体はあまりの高温に燃やし尽くされてしまうからです。
なお、もっとブラックホールに興味があるけど、日本語でかつ小難しくない程度で「ざっくりと詳しく知りたい」という方はYouTubeのたてはま / CGBeginnerのアカウントで公開されているムービーを見るのがオススメです。