オーストリアに住む22歳の男性が「警察官に向かってオナラをした」として500ユーロ(約6万5000円)の罰金を科されるという事件が起こりました。この男性は罰金は不服だとして、裁判を起こしましたが、訴えは認められず罰金が確定してしまいました。
オーストリア国内で報じられている内容によると、この男性は2020年6月5日に公園で友人たちと遊んでいたとのこと。このとき、警察官が職務質問をするために近づいてきました。当時、男性は公園のベンチに座っていましたが、少し腰を上げてオナラをしたとのこと。盛大な音が響いたのか、この場にいた友人たちは笑いましたが、この様子に警察官は自分が馬鹿にされたと思って激怒し、「警察官に侮辱行為をした」として、オナラをした男性に罰金を命じました。
納得のいかない男性は裁判を起こし、法廷で「オナラは故意ではありません。仮に故意であったとしても、表現の自由に相当する基本的権利に該当するはずです」と訴えました。これに対して裁判官は「オナラやゲップは社会的に不適切であると認識される行為であるが、『何かのメッセージ』を伝えるようなものはなく、良識の範囲で判断できるもの」として、男性が主張した内容を一部認めました。
しかし、罰金自体が取り消されることはなく、裁判官は男性に「前科がないこと」と「経済状況」を考慮して100ユーロ(約1万3000円)の罰金を支払うよう命じました。この判決に対して、男性の弁護を担当したマチェイ・ツェンツ氏は「この判決はオナラをした男性にとっては『死』を意味します。これは単なる『オナラ』の問題ではなく、基本的権利に関わる問題です」と語り、憲法裁判所に控訴する方針であることを明らかにしています。