M1搭載MacのLinuxのネイティブ実行が可能に、M1内蔵GPUには「まだ非対応」

AppleのM1プロセッサに魅力を感じていて、このチップが搭載されたマシンで「Linuxを動かしたい」「Linuxサーバー化したい」という人は一定数いるはずです。2021年6月にM1プロセッサに対応したLinux Kernelが登場して以来、音沙汰はほとんどありませんでしたが、遂にLinuxのネイティブ実行が可能になったとのことです。

AppleのM1プロセッサは独自の技術や手法が盛り込まれていますが、開発元のAppleはオープンソースソフトウェア(OSS)コミュニティに対して同SoCの仕様を公開していないため、Linuxでサポートを行うにはかなりの困難を伴っていました。しかし、Asahi LinuxのプロジェクトではApple M1を搭載しているコンピューター上でLinuxを実行することに成功し、デスクトップLinuxとして基本的な操作が可能になったと説明しています。

Asahi LinuxはAppleのコンピューターにLinuxを移植するための活動を精力的に行っているようで、「GPUアクセラレーション機能には対応していない」以外は一通りの機能が実現できたそうです。Asahi Linuxの開発者はLinux Kernel 5.16の各種ドライバーとPCI Expressの統合に成功。これ以外にもAppleのGPIO用ドライバー、I2C、電源管理のほか、NVMe、ディスプレイ制御ドライバーにも対応しています。

Asahi Linuxプロジェクトの責任者を務めるヘクター・マーティン氏は「これらのドライバー群により、M1 Mac上でLinuxのデスクトップ環境を動作させることができます。GPUアクセラレーションには未対応ですが、M1のCPUは非常にハイスペックであり、Rockchip ARM64搭載のマシンなどよりも高速です」と語り、M1はCPUだけでも十分な性能を有しているとしています。

画像: YouTube(Apple Event — April 20)

記事作成時点ではAsahi Linuxにはインストーラーが存在せず、コミュニティに属していない人はM1搭載のMac上にインストールすることはできません。マーティン氏は「Kernel基盤が安定したら、インストーラーを公開し、冒険心の強い人たちに広く使ってもらえるようにしたい」と語り、なるべく早く公開できるように活動すると続けていました。