「黒地に白? or 白地に黒?」シマウマの模様の正体は何なのか

シマウマと言えば、白と黒のストライプ模様の毛並みが有名な動物です。しかし、そんな毛並みですが「シマウマ本来の毛の色はどっちで『黒地に白のストライプ』なのか「白地に黒のストライプ」なのか?」と考えたことがある人がいるかもしれません。どうでもいい疑問のように感じられますが、この問題は科学的なアプローチで解決済みとのことです。

記事作成時点で確認されているシマウマは「サバンナシマウマ」「ヤマシマウマ」「グレビーシマウマ」の3種が確認されています。これらの3種類とも縞模様の感じは異なるのですが、実際は1つの種類の中でも各シマウマ毎に個別の縞模様が形成されているようで、色の濃い部分が黒ではなく茶色だったり、体にだけ縞があって足には模様がなかったりする個体もいるとのことです。

カリフォルニア大学デービス校で進化生態学者でもあり保全生態学者でもあるティム・カロ氏は「シマウマの毛の模様は白と黒の縞模様なのですが、皮膚の色は黒色です」と語っています。カロ氏は「確かにシマウマの皮膚は黒いのですが『肌の白い人が黒い髪が生えるように』毛の色はさまざまな要因で決まる」と続けており、皮膚の色だけでは安易に「黒地に白」だと明言することはできないと述べています。

2005年に発表されたシマウマの毛包を調査した論文では「シマウマの毛は白色部分も黒色の部分も全てメラノサイト細胞で満たされた毛包から生えている」ということが確認されました。メラノサイト細胞は髪や肌の色を決定する色素であるメラニンを生成するとのこと。メラニンが多いと「暗い色」、メラニンが少ない場合は「明るい色」になることがわかっています。

カロ氏は「シマウマの場合『白い毛の生成』にはメラニンが使用されておらず、『黒い毛の生成』のときだけメラニンが使われています」と述べており、シマウマの実際の毛の色は「黒」で模様を形作るために白い毛も生成されていることが確認されました。このため、シマウマの毛の色は「黒地に白」であるということになるのです。

なぜ、シマウマが「黒地に白」のストライプ模様の毛並みをしているのかについてですが、これは2020年にカロ氏が発表した研究で示されています。この研究ではアフリカに生息するアブが縞模様の敷物と無地の敷物のどちらに着地するかを調べており、前者の方が少なくなることが確認されました。アフリカに生息するアブはシマウマにとって致命的な病原菌を媒介していることから「シマウマが病気にかからない目的」で縞模様の毛並みになるように進化したのではないかと考えられています。