「地球に最も近い」超巨大ブラックホールのペアが発見される、近々合体する可能性も

画像: Flickr(Yuri Samoilov)

南米のチリにあるヨーロッパ南天天文台(ESA)にある超大型望遠鏡で人類が知る限り最も巨大な2つのブラックホールが観測されました。これらのブラックホールはこれまでに観測された中でも最も地球に近い場所にあるとのことです。

今回観測された2つのブラックホールは地球から7600万光年離れた銀河「NGC 7727」の中にあることが確認されており、地球とこれらのブラックホールの距離は約8900万光年離れているそうです。当然ながら地球が簡単に飲み込まれるような位置には存在しないため、命の危険はありません。

フランスのストラスブール天文台に所属する天文学者のカリーナ・ヴォーゲル氏は「今回発見した2つのペアの超巨大ブラックホールは巨大な銀河が合体したことで発生したものです。そして、それぞれの銀河の中心にあるブラックホールが近づいたことで生まれたのです」と語っています。

画像: ヨーロッパ南天天文台(ESO)

同氏は「今回発見した超巨大ブラックホールのペアはこれまで発見されていたものと比較して最も地球から近い位置に存在しています」と続けており、これまで発見されていた地球から最短位置にある超巨大ブラックホールのペアは約4億7000万光年離れた位置にあったのに比べて、今回発見されたもの半分以上記録を更新したということになります。

オーストラリアにあるクイーンズランド大学のホルガー・バウムガルト教授によると「2つのブラックホール距離と速度が小さいことから、おそらく今後2億5000万年以内に合体すると考えられます」と語っており、合体した2つの銀河の中心点が引き付けあっているため、将来的にはブラックホールが合体し、さらに巨大化する可能性があるとのことです。

なお、ヴォーゲル氏は「今回の発見により、私たちが知っている超巨大ブラックホールの数が3割ほど増えるかもしれません」と語り、合体してできた銀河がもっと多く存在していることが明らかになれば、同様のブラックホールがどんどん発見される可能性があると説明していました。