地球上にある様々な国や地域では原則として土地の所有者がいるものです。しかし、地球の衛星である月には所有者がいるのかについて、ネットメディアのSlashGearが解説しています。
結論から言うと「月は誰の所有物でもない」というのが答えになります。それは国連によって1967年10月10日に発効された宇宙条約と呼ばれる国際法で定められています。宇宙条約では「月およびその他の天体を含む宇宙空間の探査および利用については全ての国の利益のために行われるもので全人類の領域でなければならない」と明記されているのです。
つまり、条約上において「どの国も月の所有権を主張できない」としており、月に国旗を立てたとしても、ただのパフォーマンスでしかなく所有権の主張には当たらないとされています。理論上は平等な内容なのですが、実態はどのようになっているのでしょうか。
記事作成時点において、月の資源に関心を持つ企業や国家が複数現れてきています。現時点で実行までには至ってないのですが、近い将来は月の資源の採掘に手を出そうと人々が殺到するのも時間の問題と言われています。
アメリカ航空宇宙局(NASA)は月の南極に着陸して氷の掘削を行うことを計画しており、プロジェクトには民間企業を参入させることを発表。また、将来的にNASAは月の掘削も進める予定であると発表しています。また、中国でも無人探査機「嫦娥5号」を月面に送り込み、約2キログラムの月の土壌サンプルが持ち帰られたことが明らかになりました。これ以外にもロシアなど複数の国も月の資源に関心を寄せているのです。
これらのプロジェクトが進んでいき、将来的に月資源の採掘が始まった際には前述の「宇宙条約」に抵触するかどうかについて議論が巻き起こる可能性があります。そして議論が加熱していく中で各国がどのような対応をとるかについて、要注目です。