「英雄マラドーナの死は医療ミスが原因?」最期を看取った医療関係者7名が過失致死罪で起訴される

画像: FLickr(Wagner Fontoura)

サッカー界において、現役時代に「神の子」の異名が付けられ、母国アルゼンチンでも英雄として崇められていたディエゴ・マラドーナ氏は2020年11月25日にブエノスアイレス郊外の賃貸住宅で心臓発作により60歳の若さで息を引き取りました。しかし、息を引き取る前の数日間、マラドーナ氏の治療を担当していた医療関係者7名が「過失致死」の罪で起訴されたことが明らかになりました。

マラドーナ氏と言えば、身長165cmと小柄ながら、現役時代に様々なクラブチームで活躍し、1986年のFIFAワールドカップ準々決勝のイングランド戦では「5人抜きドリブル」や「神の手ゴール」をしたことでも知られるサッカー界のレジェンドプレーヤーであり、サッカーに詳しくない人でも名前は聞いたことのある人は多いはずです。これ以外にも同氏には女性関係やコカインやドーピングによる薬物使用なども問題になり、公私ともに話題には事欠かないことでも有名でした。

2021年5月に検察に提出された医療委員会の報告書によると、マラドーナ氏は死に至る2週間前に脳の外科手術を受けた後、体調が悪化したとのこと。今回起訴された7名の医療関係者が最期の数日間の治療を行っていたそうです。

マラドーナ氏が息を引き取る約12時間前には、同氏が「苦悶の表情を浮かべていた」ことが明らかになっており、この状況を確認した7名の医療関係者がこの間に適切な措置を行っていなかったため、早期に亡くなってしまったと報告書では結論付けられています。

この報告書を受けて2021年5月19日にマラドーナ氏の医療チームを率いていた神経外科医のレオポルド・ルケ氏と精神科医のアグスティナ・コサチョフ氏、その他5名の医療関係者が過失致死罪で起訴されました。ルケ氏の弁護を担当しているジュリオ・リバス氏は「この報告書には医学的な見地が明確に欠けているだけでなく、科学的根拠もありません」と語り、過失致死罪の起訴について全面的に争う姿勢を見せています。