「お金がない!」レバノンの外貨不足が深刻化、1日22時間も停電する事態に

記事作成時点のレバノンでは深刻な外貨不足に陥っており、その影響として同国内の主要な発電所の2つが2021年7月9日に稼働を停止。その影響でレバノン国内の大部分が停電してしまいました。これにより、1日あたりの国民に供給される電力は2時間しかなく、危機的状況になっているとのことです。

稼働を停止した発電所はレバノンの2大発電所と呼ばれる「Deir Ammar」「Zahrani」で、これまでは国内の電力の40%を賄っていました。しかし、レバノンの外貨不足の影響で国外から燃料の調達が行えなくなり、ついには「燃料切れ」で稼働停止を余儀なくされています。レバノン東部の都市ザーレでは「レバノン国内での電力供給が無期限に停止した」として、住民に対し、消費を最小限に抑えるように求めているそうです。

なお、レバノンでは何十年もの間、24時間365日の電力供給は行われておらず、国民は軽油で動作するディーゼル式の自家発電機を使用して不足分を補っています。しかし、軽油自体の入手も困難な陥っていることから、発電所から送られてくる電力を賄うことは不可能です。このため、国民の多くは国から供給される2時間分の電力をうまく使って生活するしかありません。実際にレバノンの大規模停電の様子はTwitterのsebastian usher氏の投稿で確認することができます。

また、レバノンの外貨不足による影響は電力不足だけにとどまりません。記事作成時点では海外から薬を購入することができない状況であり、現地の医療機関では「がん」「心臓病」の治療に必要な薬が不足しているところがあるとのこと。このため、レバノンの薬局協会は「レバノン全土での無期限のストライキ」を発表し、首都ベイルートの80%の店舗を閉鎖したと発表しました。

レバノンは金融・経済の両面で崩壊が迫っているとされており、既に国民の半数が貧困状態に陥っています。このため、同国内では汚職や怠慢等で問題視されている政治家に対して解任を求める声も強まっているとのことです。