「うんちをしてお金をゲット」韓国の大学がトイレの使用者に金銭を払う目的とは

韓国の国立大学である蔚山国立科学技術院には「BeeVi」と呼ばれる名前の実験的なトイレが存在し、ここで学生がうんちをすると学内のショップで販売されている本や飲み物などを購入するのに使用できるデジタル通貨を得ることができます。なぜ、金銭が得られるかについて、CNETが理由を解説しています。

このBeeViは同大学の教授であるチョ・ジェウォン氏らのによって設計されました。このトイレでうんちをすると、真空ポンプを使って地下のタンクに排泄物が届けられます。その後、排泄物は地下タンク内で微生物によって分解され、メタンガスを生成。その後、生成されたメタンガスは学内で使用されるガスコンロや温水ボイラー、固体酸化物形燃料電池用のエネルギーとして活用されます。

BeeViを使って、うんちを提供した学生は「大学に貴重なエネルギー源を供給した」として、(韓国語で「はちみつ」を意味する)Ggoolというデジタル通貨を得ることができます。この通貨を使用すれば学内のショップで商品代金の支払いに使用することが可能であるとのことです。

チョ教授によると、「一般的に人は1日に約500グラムの排泄物を行います。この排泄物から生成されるメタンガスを取り出したとき、そのエネルギーは車を1.2キロメートル走らせるのに十分な電力にもなるのです」と述べ、排泄物のエネルギー量が意外なほどの電力を生み出せると説明しています。

実際、このような実験はさまざまな地域で行われており、アメリカのコロラド州にあるデンバーの動物園では動物のフンを使って車を動かすことに成功。実用化できることがわかると、2019年にはBMWが酪農家と提携し、カリフォルニア州での電気自動車の充電に牛のフンを使用することを発表しています。

このようにフンを使ったエネルギー生成は再生可能エネルギーとして十分な役割を果たせることはわかります。しかし、実際にウンチを提供する側にとっては死活問題となりそうではありますが、蔚山国立科学技術院の学生には、このような取り組みに賛成する声もあるようで「これまで排泄物は『ただの汚いもの』という認識でしたが、今では大きな価値を持つ宝物なのかもしれませんね」といった声も寄せられているようです。