2021年9月17日にアフガニスタンの政権を担っているタリバンが中等教育(日本での中学・高校相当)を再開すると発表しました。再開するのは男子の教育のみで女子については一切の言及がなかったとのことです。
アフガニスタンは2021年8月に行われたアメリカ軍の撤退と同時に反政府組織のタリバンが各都市を侵攻し、同国の政権が奪われることになりました。この結果、2001年にアメリカに制圧されて以来となるタリバン政権が誕生。旧タリバン政権時代に問題視されていた「女性蔑視」の風潮を新政権は変えていくとアピールし、他国に対して支援を要請しています。
そんな中、タリバンの教育省は2021年9月17日に「7年生(中学1年生相当)~12年生(高校3年生相当)までの男子の中等学校の授業は翌日の2021年9月18日から再開する」と発表し、同省は「すべての男性教師と男子生徒は教育機関で教育を受けるべきである」とコメントしました。なお、女子生徒や女性教師についての言及はなかったため、事実上、人口の半分が中等教育を受けられないという形となっているようです。
なお、タリバン政権になってから、アメリカによる政権介入後に「女性問題省の建物」が新たに設立された「悪徳防止・美徳促進省」という名前の省に引き渡されるなど、旧タリバン政権時代の「女性差別」の風潮を取り戻そうとしているとしか考えられないような状況が続いています。
記事作成時点のアフガニスタンでは多くの職場で女性が働くことが禁止されている状況です。タリバン政権は「治安状況が安定しないため、女性を外に出すのは危険である」という理由を語っています。しかし、2001年以前の旧タリバン政権時代にも女性に教育を受けさせない理由として「治安状況が良くない」ことを挙げていたため、現タリバン政権は「女性の自由や社会進出」を認めない社会を目指しているのかもしれません。