イエス・キリストが生まれた日はいつなのか?西暦1年のクリスマス生まれではない説が濃厚

12月25日になると、多くの人はイエス・キリストの生誕祭として、毎年クリスマスのお祝い事をするものです。しかし、多くの学者はイエスの誕生日が12月25日生まれではなく、西暦1年に生まれたのも事実ではないと考えているとのことです。

ローマ・カトリック教会が12月25日をイエスの誕生日としたのは冬至と同時期に開かれていた古代ローマの祭であるサートゥルナーリア祭が関係していると学者の間で推測されています。学者のイグナシオ・L・ゲッツ氏は自身の著書「Jesus the Jew」の中で、イエスの誕生日を祝う式典として12月25日を選ぶことで「他の祭典と日程が重複せず、多くの教会が取り入れてくれる」という意図があったのではないかとしているのです。

しかし、実際にイエスがいつ生まれたのかを正確に知っている人は誰もいません。聖書に登場するヘロデ大王の逸話を考慮するとイエスは紀元前6年から紀元前4年の間に生まれたと考える学者もいるそうです。聖書ではヘロデ大王が死ぬ直前にイエスを殺すため「(イエスの住居があるとされている場所)付近に住む2歳以下の男児を殺害するよう命じた」とされています。多くの学者の間でヘロデ大王は紀元前4年に死んだと考えられているため、この時期にイエスが生まれたと考えられるとのことです。

ヘロデ大王の死亡年については諸説あり、聖書の記述にある「2歳以下の男児を殺害する命令」もただの伝説で嘘であるとする主張も多くあるようです。また、イエスの誕生を告げたとするベツレヘムの星 についても、実際の天文現象と関連付けて調査した天文学者コリン・ハンフリーズ氏の論文で「中国で紀元前5年に観測された『ゆっくりと動く彗星』である」と主張しています。

また、イエスの誕生月についても、さまざまな議論があり、ベツレヘムの星は「紀元前2年6月に起きた金星と木星が重なって見えた現象」「紀元前7年10月に起きた土星と木星が重なって見えた現象」であるといった説が飛び交っています。このため、西暦1年12月25日に誕生したというのは正確かどうか疑わしい状況となっており、誰かがタイムマシンを作って、過去に行かない限りはわからない事実となってしまっているようです。