新型コロナワクチン証明書に「首相の写真は不要」と唱えた男性、裁判所から「時間の無駄」と一蹴される

画像: YouTube (HW News English)

インドの新型コロナウイルス用ワクチンを2回接種した人に発行しているワクチン接種証明書には首相の顔写真がプリントされています。これに対して「首相の顔写真がプリントされているのはおかしい」と考えた男性が裁判を起こし、顔写真を削除するよう求めたのですが、裁判所から「時間の無駄」と一蹴され、逆に罰金を科されたとのことです。

インドで発行されている新型コロナワクチンの接種証明書には「ワクチン接種内容」「ナレンドラ・モディ首相の写真」「ワクチン接種を奨励するメッセージ」が記載されています。この写真が災いしてか、インド国民が海外に渡航した際に証明書を提示した際、証明書の写真(モディ首相)が本人の写真であると勘違いされ、度々問題になるということも起きていました。このことから、インド国内ではモディ首相の写真が証明書に記載されていることに対して批判の声が出ているようです。

今回訴訟を起こしたピーター・マリヤパリさんは裁判で「新型コロナワクチン接種証明書にナレンドラ・モディ首相の写真がプリントされているのは自己顕示欲を示すだけのもので記載する意味はなく、国民の基本的権利も侵害している」と語っており、「ワクチン証明書には首相の写真の有無を選択できるオプションを用意してほしい」と裁判所に訴えていました。

しかし、裁判所はこの訴えを「政治的な意図で起こされたもの」と判断したようで、「軽薄な異議申し立てのために裁判所の貴重な時間を無駄にした」として、マリヤパリさんに10万ルピー(約15万3000円)の罰金を科しました。

裁判所は「この新型コロナウイルスの感染拡大において、インド国民は士気を高めてくれるメッセージの入った首相の写真入り証明書を携帯することに恥じる必要はない」と述べ、「憲法によって首相が選出された事実を鑑みれば、そのポストは全国民の誇りであるべきだ」と続けており、インド国内で批判されるようなものではないと結論付けていました。

マリヤパリさんの弁護士は「インドでは新型コロナワクチン接種の代金を国民が負担しているのです。このため、国が『インド政府の力でワクチン接種を行った』というような態度をとること自体がおかしい」と裁判所の判決に対して不満を口にしていました。

また、YouTubeのHW Newsが公開しているムービーではワクチン接種証明書にモディ首相の写真がプリントされていることの(マリヤパリさんの件も含めた)一連の問題について説明しています。