「負けたら刑務所行き」韓国の大統領選挙が過去最悪のネガキャン合戦に陥ってしまう

画像: Flickr (Jernej Furman)

韓国では大統領選挙が大きな話題の1つとなっており、与党「共に民主党」の李在明(イ・ジェミョン)氏と野党「国民の力」の尹錫悦(ユン・ソッキョル)氏の一騎打ちが話題になっています。投票日は2022年3月9日と非常に迫っているのですが、この大統領選挙が過去最悪のネガキャン合戦になっており、選挙に負けた方は「刑務所行き」になるかもしれないと言われているとのことです。

韓国では「新型コロナウイルスに対する対応」「アメリカおよび中国との関係維持に向けた対応」「北朝鮮の脅威への対応」など、議論すべき点は多くあります。しかし、李氏と尹氏の一騎打ちとなった大統領選挙は「選挙公約」に関する議論はなくなり、相手を非難するネガキャン合戦に変貌してまっているとのこと。

当初、野党候補の尹氏は李氏が城南(ソンナム)市の市長を務めていた時代に行っていた都市開発事業の不正疑惑を取り上げ批判を開始。しかし、李氏は「私ではなく、尹氏こそがこの都市開発事業の不正に関与している」と反論したことから、ヒートアップすることになります。

すると、尹氏は李氏の政党を「ヒトラーやムッソリーニと同じように独裁しようとしている」と批判し、また尹氏の関係者は李氏の側近の人物を「寄生虫」と表現。これに対し、李氏側は尹氏を「野獣」「あいつこそ独裁者だ」と述べ、挙句の果てに「尹氏の妻には整形疑惑がある」として、尹氏の妻を揶揄する発言もありました。

これらの発言には当然、根拠のない発言も多く存在することから、両陣営は相手陣営に対して「名誉棄損」「虚偽情報の拡散」など、数十件の訴訟を起こしているそうです。そして、このことから韓国国内では「(大統領)選挙に負けたら刑務所行きになりそう」という憶測が広がり、記事作成時点でNetFlixで人気のある韓国ドラマのイカゲームに例えて「イカゲーム選挙」と揶揄する人もいます。

また、同国の報道機関である東亜日報は社説でこの大統領選挙について「2つの悪のうち小さい悪の方を選ばなければいけないの現実です。この韓国で不快で見苦しい大統領選挙が行われているという事実は私たちの国の未来は非常に暗いかもしれない」と選挙のあり方を批判するコメントを記載していました。