フランスのサルコジ元大統領、懲役刑の判決が下されてしまう

画像: Flickr(MEDEF)

フランスの23代大統領(2007年5月16日~2012年5月15日)を務めたことでも知られる二コラ・サルコジ被告が2012年に行われた大統領選挙にて、法律で定められた以上の2倍の額を選挙費用として使用したとして、2021年9月30日に懲役1年の実刑判決を受けたとのことです。

罪に問われたのは2012年に行われた大統領選挙で使用した選挙費用の額が超過していたことです。サルコジ被告は当時、自身の政党が派手なイベントや大規模集会を行うため、総額約4300万ユーロ(約55億7500万円)の資金を使用していたことが明らかになりました。フランスでは各政党が使用できる選挙費用には上限があり、2250万ユーロ(約29億2000万円)までしか使用できないように法律で定められています。

しかし、サルコジ被告はこれだけの選挙費用を投じたにも関わらず、大統領選挙では対立候補であった社会党のフランソワ・オランド氏に敗れており、大統領の座を奪われることとなったのです。

裁判でサルコジ被告は「巨額の選挙資金の使用」について否定しており、「そもそも、私は選挙で使用される資金には全く関与していなかった」と述べていました。しかし、裁判所は同被告の政党で雇っていた会計士のメモによって、サルコジ被告が資金の過剰支出を知っていながらも、何の対応も行わなかったとして懲役1年の実刑判決を下しました。

サルコジ被告はこの判決について、控訴する見込みであり、刑が確定するにはまだ時間がかかる見込みとのことです。なお、裁判官によると今回の実刑は刑務所に行く必要はなく、刑務所に行く代わりに本人が発信機を体に取り付けることを認めれば、自宅で生活することも可能であるようです。

サルコジ被告が実刑判決を受けるのは今年に入って2度目となります。前回実刑判決を受けたのは2021年3月のことで、2014年(大統領退任後)に裁判官を買収しようとした罪で禁固3年(執行猶予2年)の判決を受けています。しかし、大統領時代の罪で判決を受けたのは今回が初めてで、フランスの国家元首としては戦時中にナチス・ドイツに協力したフィリップ・ペタン国家主席が死刑判決を受けています。