イスラム教徒の学生、教師に質問するも「テロリストとは交渉しない」と答えられてしまう

アメリカのニュージャージー州にあるリッジフィールド・メモリアル・ハイ・スクールで行われていた数学の授業でアラブ系でイスラム教徒の生徒から質問を受けた教師が「テロリストとは交渉しない」と差別発言ともとれる回答をするという事件が起きました。この発言をした教師は停職処分を受けましたが、生徒本人はショックを受けており、事件以降は登校していないとのことです。

この数学の授業は2021年10月19日に行われていたもので、被害者となってしまった17歳のモハメド・ズビさんは同授業のティーチングアシスタント(TA)を務めていた教師(数学の担当教師とは異なる人物)に「課題を終わらせるのに時間がかかるので、残りは家でやってもいいですか?」と質問。しかし、ズビさんがアラブ系でイスラム教徒であることを知っていたTAの教師は「テロリストとは交渉しない」と発言。ズビさんの申し出を拒否しました。

申し出が断られたことよりも差別的な発言を受けてしまったことに驚いたズビさんは思わず周りを見回しました。すると、教室内では教師の発言に笑う生徒も入れば、ズビさん同様にショックを受ける人もいたとのこと。ズビさんは近くに座っていた友人の女性に「あの人、本当に『テロリストとは交渉しない』って言った?」と確認。この女性は「そうよ」と答えたそうです。

アメリカでは2001年9月11日に発生したアメリカ同時多発テロ事件を皮切りに同国に住むイスラム教徒の若者は「敵意」「不信感」「(テロに加担していないかの)疑念」の目を向けられながら成長してきました。2017年には行われたアメリカ在住のイスラム教徒を対象に行われた調査では「1年以内になんらかの(宗教的な)差別を受けた」と答えた人が約半数に上ったことが確認されています。

リッチフィールド学区はすでにこの問題について対応を行っており「差別発言をした教員は直ちに停職処分を与えました。また、この職員には法的措置も取る予定です」と差別発言をした教師に対して厳しい対応を取ることを名言しました。なお、ズビさんは差別発言を受けたショックで授業以降、学校には登校していないそうです。