大人になる通過儀礼の1つとして周知されているのが「親知らず」の抜歯です。そんな親知らずですが、なぜ子供のときに乳歯から永久歯に生え変わるタイミングで生えてこず、大人になってから生えてきてしまうのでしょうか。その理由について、Live Scienceが解説しています。
まず大きな要因として挙げられるのは子どもの発育によるものです。一般的に子どもの顎は「親知らず(第三大臼歯)」が生えるためのスペースが確保されていません。このため、成長に伴って顎が発達することで「親知らずが生えるための」スペースが確保されることが研究で示されました。
と言っても現代人の多くは親知らずが生えてくると痛みを伴い、抜歯が必要になるケースが非常に多いです。これは現代人の顎が十分に発達しておらず、「親知らず」が生えるための十分なスペースを確保できていないからです。
古代の時代に遡ると、当時の人々は固い木の実や野菜、ジビエ肉などを食べてきました。このように「固い食べ物を食べる機会が多かった古代人は顎が十分に成長することにもつながるため、親知らずが問題なく生えてくることができた」とカナダのサスカチュワン大学で人類学者として研究を行っているジュリア・ボーナー氏が説明しています。
また、親知らずが「後から生えてくる」もう一つの理由として、「それまで必要になることがない」というのもあるようです。古代の人々の食生活では固い物を良く食べるため、自身の大臼歯が大きく削れてしまったり、取れてしまったりすることがあります。後から代わりの大臼歯として、親知らずが生えることでバックアップとして機能できるようになるのです。
現代人は古代人のように顎が十分に成長できないケースが多いため、親知らずが生えてくると痛みを伴ったり、(一部しか生えてこず)虫歯になりやすかったり、歯茎の感染症が発生したりすることがあります。このため、現代では抜歯するケースが増えており、親知らずは「無意味な歯」と扱われてしまうケースが増えてしまっているのです。