死の間際に「過去の記憶がフラッシュバックする現象」が本当に脳で起きている可能性が示される

画像: YouTube (CBS Denver)

九死に一生を得る体験をした人が直前に「自分の過去の人生が走馬灯のようにフラッシュバックしたかのような感覚だった」と語っていることを知っている人はいるでしょう。2022年に発表された研究論文では、この走馬灯のような体験をする現象が実際に人の脳で起きている可能性があることが示されたとのことです。

アメリカのケンタッキー州にあるルイビル大学病院の神経外科医として勤務しているアジマル・ゼマー氏率いる研究チームはてんかんを患う87歳の男性の脳波を見ていました。すると、男性は突如心臓発作を起こし、死亡してしまったとのこと。

このとき、死亡の直前の30秒と直後の30秒の脳波データを検証したところ、人が夢を見たり、記憶を思い出したり、瞑想したりするときに起こる波形と類似していたことが明らかになりました。また、この男性の脳波にはに生じるガンマ波が含まれており、記憶がフラッシュバックする現象が起きていた可能性があることが示されました。

ゼマー氏は「私たちは死亡時の900秒間の脳波を測定し、心臓が停止する前後30秒間に何が起こっていたかの調査に重点を置きました」と述べており「この結果、心臓停止の前後でガンマ派以外にも、デルタ波シータ波アルファ波ベータ波といった他の脳波にも変化が確認されました」と続けています。

結果的に記憶の検索に関する脳波振動が死の直前に行われることで、人生において重要な出来事を最後に思い出すような演出を脳が行っているかもしれないとゼマー氏は見解を述べています。

研究チームは今回の事例はあくまでも一例でしかないとしており、今回の患者がてんかんに患っていたことから、病気固有の症状である可能性も否定できないとのこと。過去の記憶がフラッシュバックする現象が実際におこるのかどうかについては追加研究が必要であるとしています。