サル痘とは1958年にサルの群れから初めて確認され、その後、1970年にコンゴ共和国で人間への感染が確認されました。そんなサル痘ですが、2022年5月20日にはヨーロッパだけで100の症例が短期間で確認され、さらにアメリカでも感染者が何人か発見されている状態です。記事作成時点で流行の兆候が見られるサル痘がどんな病気なのか、Live Scienceがまとめています。
- Monkeypox outbreaks: Here's everything you need to know | Live Science
- Monkeypox goes global: why scientists are on alert
- Vaccination Strategies | Smallpox | CDC
- Monkeypox cases confirmed in Germany, France, Belgium, as European countries record 70 cases - The Washington Post
新型コロナウイルスと比較すると、サル痘は感染者とより密接な接触で感染して広がっているようです。世界保健機関(WHO)のデイビット・L・ハイマン氏は「サル痘は性器に感染し、性感染症と同じような形で広がっており、世界中で感染が拡大していっているように見えます」とインタビューで語っています。
サル痘は命にかかわるのか
WHOによると、サル痘は一般的に2週間から4週間で自然治癒する病気とのこと。しかし、人によっては重篤化することもあり、感染者の約3%~6%がこの病気で死亡しているとWHOは説明しています。病気が重篤化し死亡リスクが高いのは大人ではなく、幼い子どもであることが確認されているそうです。なお、天然痘ウイルスが根絶され、予防接種が行われなくなったことから、40歳~50歳代以下の人ほどかかりやすい病気であるとも言われています。
サル痘の症状
アメリカ疾病予防管理センター(CDC)によると、サル痘は多くのウイルスと同様に「発熱」「悪寒」「疲労」「筋肉痛」「頭痛」というような風邪のような症状が確認されますが、それ以上に特徴的なのはリンパ節が腫れを引き起こすとのこと。発熱から1~3日後までに顔から全身に向けて発疹が広がることもあります。なお、ここでできた発疹は段階を経て消えていき、その後、黄斑と呼ばれる薄茶色の斑点が全身に現れるようになります。その後、黄斑はニキビのようなものに変化。最終的にはカサブタのようになって体から落ちていくそうです。
サル痘の感染力
サル痘は人獣共通感染症で通常は動物から人に感染していきます。WHOによると、主にウイルスを媒介している動物は不明とのことですが、げっ歯類や霊長類の動物がウイルスを持っている可能性があるようです。感染力自体は新型コロナウイルスと比較すると、非常に低く、一定時間以上の密接な接触がないと感染することはないと言われています。しかし、ウイルスの突然変異の可能性もあるため、記事作成時点でサル痘感染者のウイルスを調査している段階だそうです。
サル痘の治療法
サル痘の治療について、記事作成時点で安全で効果的な治療法は確認されていません。なお、ワクチンは存在するものの、あくまでもリングワクチネーション(他人への感染を防ぐ形態)のものしかないというのが現状だそうです。
サル痘が確認された地域、主な感染者
サル痘の感染が確認された地域はこれまで世界中で100件以上の症例が報告されており、スペイン、ポルトガル、イギリスでの症例が大半を占めています。これ以外にもベルギー、フランス、ドイツ、イタリア、スウェーデン、オーストラリア、アメリカでの症例も確認。これらの感染者の多くは男性と性交渉を持った30歳~55歳の男性であるとのことです。