「アーチェリーは結果が重要で持ち方は関係ないからね」パラリンピックで金メダルを目指す「無腕の射手」マット・スタッツマン

画像: YouTube(Great Big Story)

記事作成時点において、東京オリンピック・パラリンピックの開催まであと2カ月ほどに迫っています。パラリンピックのアメリカ代表で出場予定のマット・スタッツマン選手はアーチェリー選手でありながら、生まれたときから両腕がありません。そんな彼の半生がイギリスのBBCが取り上げていました。

スタッツマン選手は「『食事の仕方はどうやって覚えたのか?』とかよく人から聞かれるのですが、正直わかりません。2歳の頃にはすでに足でフォークを持っていましたので」と語っており、同選手にとって「両腕がないこと」は障害とは考えておらず「ただの人生の一部」であると認識しているとのことです。

スタッツマン選手はアメリカのアイオワ州で育ち、幼少の頃からスポーツ選手になることを夢見ていました。「元々は世界一のバスケットボール選手を目指して練習しており、健常な人と比較しても、普通の人よりはうまいと思います」と語るスタッツマン選手は最終的にNBAの門を叩くことはありませんでしたが、私生活では難しい態勢からのシュートを簡単に決められるなど、普通の人より高いバスケットボールの技術力を持っています。

画像: BBC

同氏がアーチェリーと出会ったのは2010年のことで、テレビでアーチェリーの試合を見たことがきっかけで始めたとのこと。最初はどうやって矢を射てばよいかわからず、最初の矢を撃つのに2週間かかったとスタッツマン選手が語っています。実際にスタッツマン選手が編み出した撃ち方はYouTubeのGreat Big Storyチャンネルのムービーで解説しています。

スタッツマン選手はそれからアーチェリーの技術を磨き続け、2年後の2012年のロンドンパラリンピックに出場し、見事に銀メダルを獲得。その後は自動車レースの世界にも進出し、リオパラリンピックに向けた練習中であっても、掛け持ちで車のレース大会に参加することもあったそうです。

車の世界にも興味を持った理由について同氏は「自動車はアーチェリーと同じで、結果だけが求められる競技です。そのため、車も弓もただの道具でしかなく、操り方は問われないため、この競技に興味をもった」と理由を語っています。

その後、2015年には283.47mの距離にある的を正確に射抜き、「最も遠い標的に矢を当てた」として、スタッツマン選手はギネス世界記録を樹立することに成功。2016年のリオパラリンピックでは思うような結果が出ませんでしたが、2021年の東京パラリンピックでは念願の金メダルを目指して、スタッツマン選手は準備を進めているようです。

実際にBBCが報じたムービーは以下から確認することができます。

Source – BBC News