2021年5月30日にブラジルに拠点を置く世界最大の食肉業者としても知られるJBSが組織的なサイバー攻撃の被害に遭ったことが確認されました。ホワイトハウスによると、このサイバー攻撃はロシアに拠点を置く犯罪組織からのものである可能性が高いとのことです。
- JBS Cyber Hack: Meat Supplier Shuts Down Some Slaughterhouses After Attack - Bloomberg
- Cyberattack on JBS reportedly causes meat plant closures - CNET
- JBS, the world’s largest meat supplier, hit with cyberattack - The Verge
被害の詳細については明らかになっていませんが、2021年5月30日にJBSはサイバー攻撃の標的となり、アメリカとオーストラリアの設置されている同社のサーバーが攻撃されました。この攻撃により、JBSのITシステムは停止を余儀なくされてしまい、アメリカ国内にある5ヶ所の食肉工場とカナダの1つの食肉工場が閉鎖に追い込まれたとのことです。
なお、JBSのバックアップサーバー自体は問題なく稼働しており、同社が保有する顧客データに影響はないようです。しかし、JBSの食肉工場6ヶ所が閉鎖した影響により、供給の遅れが生じる可能性が高いとみられています。
ホワイトハウスのカリーヌ・ジーン・ピエール副報道官は記者会見において、「今回の攻撃はロシアを拠点とする犯罪組織からのものである可能性が高い」と説明しました。今回の攻撃がランサムウェアによるものと見られており、ジーン・ピエール副報道官は「犯罪組織の摘発に向けて、ハッカー集団の身柄引き渡し等について、ロシア政府と直接交渉する」と記者団に語っています。
ロシアからのサイバー攻撃については、2021年5月にアメリカ国内で最大の石油パイプライン「Colonial Pipeline」が同様のランサムウェアの被害に遭い、石油供給の面で大きな影響が生じていました。Colonial Pipelineを攻撃したハッカー集団「DarkSide」は声明で「我々は金銭のみが目的で活動しており、社会インフラに影響を与えるつもりはない」としていました。
現時点でサイバー攻撃にロシア政府が関与しているという確証はありませんでしたが、もし関与していた場合はアメリカとロシアの間で大きな緊張関係が生まれる懸念があります。