2022年5月10日に韓国の大統領に就任予定の尹錫悦(ユン・ソンニュル)氏には同国で過去何百年も採用されてきた「年齢の数え方」を廃止するように働きかけを行っていることが明らかになりました。韓国で採用されていた年齢の数え方の廃止後は全韓国人の年齢が1~2歳若返るとのことです。
韓国で採用されてきた伝統的な年齢の数え方は「生まれたときが1歳」「翌年の1月1日に年齢に1歳加算する」というもの。例えば、2020年12月に生まれた赤ちゃんは2021年1月1日時点で2歳になるということになります。しかし、韓国次期大統領の尹氏は「韓国の年齢の数え方は特殊であり、国際基準に統一したい」考えがあるようで、大統領就任後に改革する可能性があるそうです。
記事作成時点において、韓国での年齢の数え方は3通り存在していて、1つ目が1962年から採用された「生まれたときを0歳とし、翌年の誕生日で年齢を1加算するもの」で日本など多くの国で採用されている一般的な方式。2つ目が「生まれたときを0歳、翌年の1月1日に年齢を1加算する方式」で韓国の法律や徴兵の際に使用される年齢のカウント方法です。そして3つ目が韓国で一般的な数え方で「生まれた年齢を1歳、翌年の1月1日で年齢を1加算する」ものでした。
この方法に従った場合、韓国の音楽グループBTS(防弾少年団)のメンバーである1995年12月30日生まれの金泰亨(キム・テヒョン)さんは記事作成時点で、国際基準では26歳、韓国の法定年齢で27歳、韓国の一般基準で28歳となります。このため、金さんの場合は韓国国内では数え方を変えるだけで3つの年齢で表記することができるのです。
なお、韓国では行政手続き上は1962年から国際基準の数え方を採用。このため、尹氏の大統領就任後に「韓国基準」の2つの方式を排除しても問題がないように考えられますが、実際はそうはいかないようです。漢城大学校で法実務の助教授を務めるキム・ウンジュ氏は「韓国人は(儒教の考え方から)年齢を非常に重視しており、自分が相手にどのような態度をとるべきなのかを知るため、名前を知るよりも重要な情報となります」と語っています。
また、同氏は「(韓国式の数え方は中国やアジアの地域で用いられた方法ですが、)昨今のグローバル化の影響を受けて国際基準を意識する人々が増えているのです」と述べており、韓国国内でのみ使用されるような考え方は受け入れられづらい背景があるとしています。また、新型コロナウイルス蔓延時は国際年齢表記で書かれたワクチン接種年齢を韓国の一般基準年齢で誤解してしまった人が続出したこともあり、国際基準に統一することを求める声も増えてきたとのこと。
しかし、尹氏の大統領就任後に韓国で国際基準の年齢を統一したとしても「しばらくの間、多くの人は『韓国式の年齢』を使用することは続くため、国際基準のものを第一に考えられるようになるには長い時間がかかるだろう」と考える人も多いようです。