中国のロケット「長征5B」の残骸が大気圏再突入へ、予測落下地点は不明

画像: Flickr(NASA Goddard Space Flight Center)

中国の中国運載火箭技術研究院で開発されたロケット「長征5号B」が2022年7月24日に打ち上げられました。しかし、このロケットの残骸の制御が行われていないため、2022年7月30日または2022年7月31日に大気圏に再突入し、地球上のどこか(最悪の場合は人里)に落ちてしまうとのことです。

長征5号Bは2022年7月24日に打ち上げられ、中国が記事作成時点で開発中の天宮号宇宙ステーションに実験用モジュールを運ぶことを目的としていました。しかし、モジュールの運搬に使用されたロケットの残骸を安全な地点に落下させるための制御が行われておらず、大気圏再突入後は地球上のどこに落ちるかは明らかになっていません。

地球の衛星軌道上にある宇宙ゴミの観測を行う企業「Aerospace」によると、地球に落下してくるのは長征5号Bのロケットブースターで重量は約23トンあるとのこと。当然、地上に到達する前にロケットブースターの大部分は燃え尽きてしまいますが、それでも5トン~9トンほどの物体が燃え尽きずに落下してしまうと予想されています。

AerospaceはTwitterで長征5号Bのロケットブースターの落下地点の予測をツイートしています。記事作成時点では(日本時間で)2022年7月30日20時16分から2022年7月31日8:16の間に地球に落下すると見られていて、落下予想地点は日本をはじめ、北米から南米、アフリカ大陸、インド、中国などの地域が含まれており、世界人口の88%以上をカバーする地域に落下する可能性があるそうです。

なお、落下予想地点は記事作成時点のものであり、今後の観測によって、大きくズレる可能性もあります。このため、Areospaceは「引き続きロケットブースターの大気圏再突入状況を監視し、新しいデータが入手次第、最新情報を提供する予定です」と述べており、落下地点が気になる人はチェックしてみるのもアリかと思います。

ペンギン議長の一言
ちなみに、残骸を安全な地点に落とすための試みを行うことは国際条約で取り決められており、中国もこれに同意しています。しかし、この取り決め自体に拘束力がなく、あくまでも努力義務としての扱いであるため、今回のような問題は今後も多く生じると考えられています。(残骸の落下で生じた損害の賠償義務は発生するのですが……)