アメリカにはAmazonの創業者であるジェフ・ベゾス氏やテスラとSpaceXのCEOであるイーロン・マスク氏などの億万長者が多数いますが、彼らの納税情報が流出したことが明らかになりました。流出した情報によると、ベゾス氏やマスク氏など多くの富裕層が、ありとあらゆる節税方法を駆使して、ほとんど所得税を支払っていないとのことです。
- The Secret IRS Files: Trove of Never-Before-Seen Records Reveal How the Wealthiest Avoid Income Tax — ProPublica
- Tax details of US super-rich allegedly leaked - BBC News
- Elon Musk Paid No Federal Income Taxes in 2018, ProPublica Reports
流出した納税情報を入手したのは非営利の調査報道機関であるProPublicaです。ProPublicaはベゾス氏やマスク氏、バフェット氏など世界を代表する富裕層として知られる人々の納税申告書を確認したとのこと。ProPublicaによると、アメリカンの富裕層トップ25人は2014年〜2018年までで4010億ドル(約44兆円)の利益を得ましたが、その間に所得税として納められたのはわずか3.4%にあたる136億ドル(約1兆5000億円)程度のみでした。ちなみにアメリカにおける本来の所得税率(連邦個人所得税率)は最低(最も所得の少ない人)でも10%となっており、富裕層が納めた所得税が一般家庭が納める額よりも低いことがわかります。
リークされた納税情報によると、テスラとSpaceXのCEOであるマスク氏は2014年〜2018年までの間に資産が139億ドル(約1兆5200億円)増加しましたが、実際に所得として報告した額は15億2000万ドル(約1663億円)のみで、所得税として4億5500万ドル(約500億円)を納めたとのこと。つまり、この期間におけるマスク氏個人の所得税率は約3%程度という結果となっています。
また、AmazonのCEOであるベゾス氏は2007年と2011年には所得税を一切支払っていないにも関わらず、億万長者となっていたことも明らかになりました。このような人は他にもいて、大統領候補にもなったマイケル・ブルームバーグ氏や投資家のカール・アイカーン氏やジョージ・ソロス氏なども含まれているようです。
ProPublicaによると、いわゆる超富裕層の所得税を支払わないための戦略として、高い税率が適用される所得ではなく、「不動産」「売れ残り株式」など、利益が未確定な資産をうまく利用することで、所得を低く見せるようにしているとのこと。この結果、富裕層の人々は所得額を数億円程度に見せかけることで、所得税額を引き下げ、莫大な資産を増やすことができるというわけです。
しかし、「節税」自体は法的に問題ない行為であり、合法的なものです。このため、ホワイトハウスでは「本来機密であるはずの納税情報が漏洩したこと」を問題視しており、FBIや財務省を使って漏洩元を調査するとしています。このため、ProPublicaが発表した内容については特に触れられることはありませんでした。