2022年5月31日にアメリカのカリフォルニア州の控訴裁判所において、ミツバチの一種であるマルハナバチを「魚類」として認定する判決を行いました。ミツバチは魚類ではないことは誰もが認めることであり、今回の判決を下した裁判所も認めていますが、絶滅危惧種の一種であるマルハナバチを守るためには必要な判決だったとのことです。
- California court classifies bees as fish under endangered species law - UPI.com
- California Court Paves the Way for Protection of Imperiled Bumble Bees and Other Insects | Xerces Society
この裁判はカリフォルニア州の絶滅危惧種保護の法律が関わっています。カリフォルニア州の絶滅危惧種保護の法律は1970年代に制定されたのですが、同法では無脊椎動物は魚類であると定められていたことから、絶滅の危険性があるマルハナバチも2019年に「魚類」として登録されることになりました。
しかし、2020年に同州の農業団体がサクラメント郡の上位裁判所に「マルハナバチは『魚類』ではなく、絶滅危惧種の登録が誤っていることから、正当性がない」と主張。その後、裁判所は農業団体の訴えを認め、マルハナバチの絶滅危惧種登録を無効と判断し、同団体が地域に生息するマルハナバチ駆除が正当な行為であると認定しました。
絶滅危惧種保護の観点でその後も揉めた結果、控訴裁判所は「マルハナバチは無脊椎動物であり、絶滅危惧種法で『魚類』と扱うのは無効と判断されているが、既に魚類以外の無脊椎動物は同法の中で魚類として扱われ、絶滅危惧種のリストに登録されています。したがって、今回無効化されたマルハナバチも魚類として登録することに何も問題は生じないものと考えられる」と判断。その後、絶滅危惧種法の保護リストにマルハナバチが正式に登録されることになりました。
この判決を受け、無脊椎動物保護協会は「この判決により、カリフォルニア州は絶滅危惧種であるマルハナバチや他の昆虫、その他の陸生無脊椎動物を保護することが可能となりました」と述べており、判決を歓迎する意向のコメントを発表しています。